後日、クイの要求が伝えられた。
――フロンリーフ姫を無事に返して欲しくば、残り2枚の王家のぱんつを差し出すこと――
しかし、王家のぱんつは王家を継ぐものの証であり、それを奪われたものは王位の継承権が失われてしまう。
王家のパンツは3枚存在し、3人の姫、アースフラワ姫、サンステム姫、そしてフロンリーフ姫が所有している。
王はこの条件を飲まず、フロンリーフ姫を奪還すべく精鋭の部隊を派遣した。
北の塔――そのてっぺんにある小部屋。
「いい格好ですこと」
クイがフロンリーフを拘束していた。
「お放しなさい!」
フロンリーフは怒りに震えている。
両手の手首にかせをはめられ、ロープで吊るしあげられている。
足は地面に付いてはいるが、しゃがんだり、座ったりするにはロープに余裕はない。
「それはできませんわ。敵さんはわたしの条件を無視しましたもの。
あなたの無事よりぱんつの方が大事という……」
「魔女に王家の秘宝の価値が分かってたまるものですか!」
「まさか。やはりどう考えてもぱんつの方が姫よりずっと貴重ですわ……当然でしょう?」
クイはフロンリーフのスカートの中に潜り込み彼女のぱんつを下ろしてく。
「そんな言い方……って、な、何をなさるの!」
もぞもぞと這い出るクイ。手には王家のお宝ぱんつが。
「お返しなさい……!」
真っ赤な顔をして睨みつけるフロンリーフ。
「あら、怖い顔ですこと」
クイはぱんつを両手で持ち、素材の感触を確かめると、幸せそうに頬ずりする。
「な……っ、ぱんつの変態~~っ!!」
フロンリーフがぎゃーぎゃーわめくのを意にも掛けず。
クイは塔の下を見下ろして、
「さて、外のおじさまたちはどうしましょうね……こちらには来れなず地団駄を踏んでいますわ」
この塔の周りには底も見えないほど深い谷があり、空を飛ぶでもしないと塔のには近寄れない。
『姫様―ご無事ですかー!?』と大声も、谷と塔の間に出来る激しい風によって妨げられる。
「見ろ、姫だ。塔のてっぺんの部屋にいるぞ!」
単眼鏡を取り出して姫の無事を確認する兵士たち。部屋は透明の壁で出来ているため外から見える。
「縛られてる!ちくちょう魔女め……! 何とかならないのか」
そのとき、一匹の翼竜が塔に向けて飛んでゆく。
『な、なんだ?』『人が乗っているぞ―』『あれは……ミリア殿だ!』
『ぉぉぉ、我らが勇者さまだぁぁ―ーーー!』
ミリアの登場に沸く兵士たち。
ミリアは塔から現れた竜や鳥型のモンスターを、空中戦でバッタバッタと斬り結ぶ。
「くっ……竜くん、なんとか塔までこらえて……!」竜は傷を負いながらも塔の元に辿り着く。
「竜くん、隠れてて。わたし、フロンリーフ姫を助けに行ってくる……っ」
「まあ、侵入者だわ。 慕われてるわね、お姫様」外の喧騒を眺めるクイ。
「ミリアさん、来てくれたのですね……」
「面白くなってきたわ。
侵入者も、聞きなさい。いまから10分毎に、お姫様のスカートの裾にに風船をつけるわ」
クイが、フロンリーフのスカートの裾に、1個、風船を付ける。
フロンリーフのスカートがふわり、少しだけ浮き上がる。
ちらりとスカートから足首が見える。
「きゃっ」
「10個もあれば姫のスカートは完全にめくれ上がるわ。 そうなれば……お姫様のはいていない下半身があらわになるわ」
「……なっ?!」
「どうせ、外のおじさま達はぱんつより中身が見たいでしょうし。下品な人たちだから」
『ななな、何を言う!』『だだ、断じてそのようなことわ』『でも目が離せないーー』
「……ミリアさん、急いでください」
「ふん、来ることが出来るかしら。ここに来るまでには、いくつかの部屋を突破しないといけないわ」
クイは、余裕綽々に「ふううー」と次の風船を膨らまし始めた。
――
ミリアのフロンリーフ救出劇の始まり。始まり。