目隠し鬼
土の塔、風の塔、水の塔、火の塔。
魔女の日より突如地上に現れた4つの魔女の塔は
伝承の勇者の活躍によりその全てが破壊された。
4人の悪い魔女とともに現れたモンスター群もその姿を減らし
人々は平穏を取り戻しつつあった。


 その伝説の勇者様は占い師のルルと共に楽園に来ていた。
これまでの冒険の記録を女神皇女イナルミに報告を行うためだ。
楽園には天女が住んでいて、その頂点を極めるのが女神皇女イナルミである。
楽園の住人は屋外では透明な羽衣を身に付けるが、屋内では裸で暮らしている。
至る所に湖や温泉が湧き出ており、衛生環境が整えられているため
服を着る必要が特にない。
ミリアやルルなど地上の住民も楽園では服を持ち入ってはならないため
裸族となっている。いわゆるヌーディストエリアである。


 イナルミは彼女らの報告を大層喜びになり連日連夜、宴を催した。
「これで心配事がなくなったし、毎日遊んで暮らせる。ほんとありがとうミリア、ルル」
イナルミはもう何度となく感謝の言葉を述べられる。
その度にミリアは恐縮して、ルルもそんな気さくなイナルミの一面は嫌いではないが、
すぐにミリアに抱きついたりキスをしようとするので、油断ならず気を許せない。
そこでミリアを先に地上へと返し、ルルが詳細な報告書の作成のためひとり残ることにした。


 それからはなるべく早く地上に戻れるよう、
ルルは作業を急いでいたのだが……
「ルル様、イナルミ様がお呼びです」
「(きましたね……)」
ルルは、そろそろ来る頃だろうとは予測していた。
イナルミの宴会に数回お断りを入れたのだが、しびれを切らされたようだ。
「わかりました。今晩は参ります」
もう少しで報告書に目処がついたため、今回も参加を見合わせるつもりであったのだが。
ルルは諦めて参加することにした。

宴会の大広間に行くと
キャッキャウフフフとイナルミと十数人の天女たちが賑やかに遊んでいた。
「あールル!今日という今日は途中でお部屋に返さないから!今までの分もたくさん遊んでもらうよ!」
イナルミはルルの顔を見つけるやいなやそう宣告した。
ルルは苦笑して「(隙を見て帰ろう)」と思った。
しばらく歓談をして、ワイワイと楽しんでいた。
場が盛り上がって来て宴会遊びをすることになった。
すっと帰ろうとするルルをイナルミは後ろから抱いて捕まえた。
「今、帰ろうとしてたり?」と言うので、ルルは帰るに帰れなかった。


 競技は『目隠し鬼』。
1.イナルミ、天女さん8人、ルルの計10人で行う。
2.10名が目隠しをして、目が見えない状況での鬼ごっこ。
3.鬼だけではなく、逃げる人も目隠しをする。
4.鬼は身体に鈴をつける。
5.鬼が1人で残りの人は逃げる。鬼に捕まえられたら鬼の交代。
6.たたみ20畳の部屋で行う。

「以前は鬼が私だけで、目隠しも私だけだったんだけど……」
他の天女は遊んだことがあるらしく、イナルミがルルに説明する。
「ほら、殿様こっちですよ〜みたいな遊び。それ飽きちゃって、みんな目隠ししてみたら楽しかった」
「イナルミ様はやはりそういうお遊びがお好きなんですね」
ルルは少し呆れた感じに感想を述べた。
「いやーそれほどでも」照れるイナルミに「褒めていませんがっ」

さて、他のみんなと同じようにルルは目隠しをされたのだが、
裸で目隠しされると、少しドキドキしてしまうのであった。
目が見えない分、耳を澄ますと畳の上を動く足音が聞こえてくる。
ただどの足音が鬼か判別することができないでいた。
頼りの鈴の音もそんなに遠くまでは聞こえないみたいだ。
すぐに「きゃー!」と声が聞こえた。
ルルはドキっとした。誰かが捕まったみたいだ。
ルルの位置からは少し離れているみたいだ。
このまましばらく音を立てず息を殺していると、
どんっと誰かにぶつかった。
「あっ、ごめんなさい」つい、と口に出してしまった。
すると、トトトと、足音が近づいてきた。鈴の音も聞こえ始めた。
「(見つかっちゃった!)」ルルはできるだけ音を立てずにその場から移動を始めるが……
不意に人の手が身体に触れて。腕を引かれ。抱きしめられた。鈴の音がなる。
「はう!?」
思わず声を上げてしまうルル。
「その声はルル様でしょうか?捕まえましたっ」
鬼の天女さんは嬉しそうに抱きしめてくる。
「は、はい」
ルルは裸の天女の温もりが伝わって、気恥ずかしく思い声が上ずってしまった。
鬼となったルルは他の天女を捕まえたり、また、捕まえられたりそれなりに楽しんでいた。

「はい、練習おわりー」
目隠しは外さないまま、イナルミの声が聞こえた。
「これから、鬼は鈴ではなく、震える石を身体に身につけてもらうから」
このとき、ルルは「(鈴より聞こえにくくなるのかな)」と思っただけであったが。
その考えは間違えであったと、すぐに気がつくことになる。

「きゃあんっ!」
ルルのすぐ近くで、鬼に誰か捕まったみたいだ。
鈴の音は聞こえず、代わりにヴヴヴと鈍い音が聞こえる。
「……っはっあっふっ」
それだけではなく、女性の喘ぐような吐息が聞こえた。
ルルは、これはただ事ではないと思い、なるべく遠くに逃げた。
目隠しをしているルルにはわかりようがなかったが、
鬼に押し倒された天女が、震える石を身体の中に挿れられていたのだ。
それからも、鬼が天女を捕まえる度に
「あっ、あっあぁんっ」とか「あっ、ふーあーっ」とか
悲鳴が聞こえてきた。
ルルは「(もー、早くこの鬼ごっこが終わりますように)」と願いつつ
声や音が聞こえたらこっそり遠くへ逃げていた。
しかし限られた空間の中、他の天女も同じように行動していたため、
ルルは天女とぶつかって倒れてしまった。
バタン……の音に反応し、恐らく鬼らしき人の足音が迫ってくる。
「(こっちに来てる……!)」
ルルは慌てて立ち上がるが、それが行けなかったのか鬼が一気に距離を詰めてきた。
「(だめ、捕まっちゃう……)……きゃあ!」
ルルは何者かに後ろから抱きしめられて、押し倒されてしまった。
「あふ……捕まえました。はふぅ、震える石を渡しますね」
やけに色っぽい声を出す天女が耳元で話す。
「きゃひ!」
ぶるぶるしたものがルルの股間に押し当てられた。
「な、何をするのですか……?!」
「これを……鬼は中に入れてください」
「あっっ」
ぐいと、ブルブルする物を割れ目に沿ってこすられる。
「こ、こんなの聞いていません……」
ルルは泣き言をいうが、イナルミが逃げさせてくれるものではないのは知っているし
また、裸で、目隠しをして、抱きしめたり、抱きしめられたりしていたので
身体がほてっていたのは事実で、この場を切り抜けるために頭を働かせていながらも、
ブルブル石によって、すぐに身体から愛液が溢れてきてしまった。
「んやっ……」ルルは恥ずかしくなり、声を上げるが、
天女はルルの中に石を押し込んでいた。
「んっ。はっ。んんん。」
その刺激に吐息が荒くなる。
そしてルルは鬼とされてしまった。
ゆっくり立ち上がると、呼吸を整え心を落ち着かせようとする。
「んんんんんっ。。(何これ、急に……)」
この石の厄介なところは、震える強さ、周期が一定ではいないということ。
「っはっあっ」不意に暴れだすと身体に電流が走ったかのように体全身が震えてしまう。
「(早く、誰かに、変わってもらわないと……大変なことになっちゃう!)」
ルルは他の誰かを捕まえようと、耳を澄まし、足音のする方へ足を伸ばす。
動いている最中にも、石がルルを責め立てるため、不意を疲れる度に
「は、はんっ」、「っはっ!」っと立ち止まることを強いられて、天女を逃してしまう。
「や、やぁぁ〜……」ルルは自分の身体がどうにもままならず、立ち尽くしてしまう。
身体が熱を持ち、汗が滴る。
「ん、ん……」それでもどうにか足を動かし、気配のする方へと向かう。
遠い……最初の方はそれでもまだ惜しいこともあった。
指が天女の身体に触れたり、近くで声が聞こえたりしていたのだが……
今はもう、天女を捕まえることが絶望的に思えてきた。
「んんあは……!」
石が、今までにない動きを始めたため、ルルは甘い悲鳴を上げてしまった。
ルルの中から愛液が溢れ太ももに伝わる。
「(そんな……)」
石にここまで感じさせられてしまっている自分にショックを受ける。
自分の中から石を取り出そうと指を入れるが取り出すことができない。
誰かを捕まえないと出せない仕組みになっているようだ。
「あ、っ、あくふっ……いし、お願い、石をとってください……ん〜〜……っ!」
いよいよ切ない気持ちが止まらなくなり、
内股で太ももをこすり付けてしまう。
そんな行動を待ち構えていたかのように中の石が今まで以上に暴れだす。
「んんんはあっ!」
足が震え、立っているのがやっとな状態で、なんとかこらえている。
自身の甘く高い吐息に脳が反応して、思考がピンクな感情で染まる。
「あっ。あっあっ!!」
全裸に目隠しをしたルルが、みんなに喘ぎ声を聞かれながら。
「っんっーーんっ!!!!」
ヒクヒクと身体を震わせながらいってしまった。


−−そのとき、1人の天女が空を飛んでやってきた。
彼女は慌ているようで部屋の外にある温泉の中に着水する。

−−ざばんっ

温泉に水柱が上がる。
濡れたままどたどた部屋の中駆け込む。
「たいへんたいへんです、イナルミ様、ご報告!」
「どうしたの?」目隠しをしたまま声のした方を向くイナルミ。
「悪魔女王が地上に現れたとのことです!」
「え、ええええええええええ?!!
 イディラが……悪魔女王が復活してしまった……?」
聞くやいなや、がたがたと身体を震わし膝をつくイナルミ。
「まさか、そんな……」
顔が蒼白になり、何度もつぶやく。



……イナルミはその日から部屋に閉じこもって出てこない。

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