プロローグ。
ファンタジーの物語。
とある大陸。
戦争やら何やらも昔のこととして
人類は一応平和にくらしていた。
魔女の日が来るまでは。
魔女の日と呼ばれる日を境にして
人類は激動の歴史を紡ぎだすこととなった。
東西南北に突如現れた搭。
その主に4人の魔女。
そして魔女と共に現れたモンスター群。
東西南北の地域はそれぞれに
魔女に蹂躙され平和と秩序の機能を奪われてしまった。
大陸を統べる中央王国は兵の派遣を決め
無謀と思われつつもモンスターと戦いを始めた。
そして、その一方で信託により
勇者の選定が始まっていた。
中央王国、接見の間にて−−
「王様、かの有名な占い師を呼んでまいりました」
「ルルと申します。王様、お見知りおきを」
白のローブをまとった少女は年に部相応なほど礼儀正しく挨拶をした。
王様は厳しい表情を崩さずに
「世界を救う者を探し出して欲しい。これ以上我が国の民が死んでいくのを見てられんでの」
ルルはすっとあさっての方向へ指をさし告げる。
「ここから北へ3日ほど歩いたところにサムラムという小さな村があります」
そっと目を細め、こう続けた。
「今はまだ子供ですが、3年後に世界を救う勇者と成長しましょう」
サムラムでは−−
「やー、キサナちゃんやめてよぉー」
「あっはっは。いい格好、ミリア。馬鹿みたい」
キサナと呼ばれた髪の長い少女とその取り巻きが一人の少女を囲んでいる。
「くすん。これ解けないよぉ」
スカート越しにくぐもった声で泣きべそをかく。
なぜスカートかというと長い丈を頭の上で結ばれているためである。
「そんな格好でお尻ふって、みっともないミリア」けたけたと笑い転げている。
「こら!神聖な学校でなにをやっているの、あなたたちは!」
突如登場して大声を上げる、大人の女性。
「これから村の広場で大切な話があるから全員向かいなさい。今すぐにね!」
「先生。ごめんなさぁい」
ぺろっと舌を出して駆け出すいじめっ子一同。
「またキサナね。あの子、顔は可愛いのに、破天荒な性格は直りそうにない」
「せんせーい。たすけてー」
スカートお化けがふらふらゆれながら歩いてくる。
「あ、危ないからじっとしてなさい」
言い終わる前に転ぶミリア。
「はぁ。この子はこの子でー…」
このところ先生の頭痛の種は耐えることない。
ずらっと、広場に50人弱の子供。
「王宮から大臣というお偉い方がきてるんだって。パパがそう言ってた」
「大臣ってなーに?おいしいの?」
ワイワイ、ガヤガヤ。
やがておいしそうな大臣の話が始まった。
「えー、この中に勇者と呼ばれるものが居るそうだ。心当たりのあるもの、前へ出てくるがよい。」
「勇者ってなーに?食べられるの?」
「ばか、ユウカンナルモノのことだよ、ママが言ってた」
「えーなんか面倒そう。世界を救わないといけないんだって」「キューセーシュさまね」
「この村は平和でジッカンがわかないよね」
「もう面倒だからキー坊やってよ」「やだよおれレベル低いもん。そうだミリアやれよ」
「え?」話を振られひきつるミリア。
「そうだ、ミリア、勇者やれー」「やれやれー」
ワイワイ、ガヤガヤ
「ざわざわしているな。心当たりのあるもの、発言権をあたえる!」
大臣のセリフ。
「はーい、ミリアがぴったりだと思います」
お調子者の男の子が、ひょいとミリアの手をつかみ高々と上げる。
「え、ちょっと…」
「そのもの、勇者であるか?」
「わたしはその…」見渡すとみんなの目が拒絶を許さいぞと訴えている気がした。
「勇者…だったりするかもしれません」
この日、世界で一番勇気の無い勇者が誕生した。
三年後。
中央王国、接見の間にて−−−−
「あなたが勇者か、この三年間待っておったぞ」
人前で泣き出す国王。
「あう、その、はい。よ、よろしくお願いします」
人前でがちがちに緊張するゆうしゃ様。
「あたしが立派な勇者に導いて見せます」
ゆうしゃ様を間近に使命感に燃えるルル。三者三様。
このあと、へっぽこさがばれて大変な目にあいますが
それは次のお話。
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