街。
「あっ、あの魔法屋さんだね」
鍛冶屋の親父が言っていた通りの看板がミリアの視界に入ってきた。
「でも、鍛冶屋のおじさん親切だったなぁ」
数年に亘る修行でミリアの剣はボロボロにこぼれ、剣というより鈍器になっていた。
最初のうちはお金もろくに持っていないミリアに、鍛冶屋の親父はあからさまに面倒そうな視線を浴びせかけていた。ところが、ミリアが魔王を倒すのに必要だから、と言って涙ながらに訴えると、見る間に態度が変わっていった。
「ほお!あんたが魔王を退治するのかい!わかった、おじさんにまかせとけ!」と言って、とたんに張り切りだしたのだ。
そして、剣を打ち直してるからその間にと、魔法屋の特製ポーションを受け取ってきてほしい、と頼むのであった。
 
「ごめんください」
「おう、なんだいお嬢ちゃん」
鍛冶屋の親父に似た感じの太った親父が奥から顔を出した。
「この手紙に書かれているポーションを買いたいんですが」
「どれどれ?おお、鍛冶屋の親父じゃねぇか。ふむふむ、いつものやつだな」
手紙を読んで、魔法屋の親父はビンに入ったポーションを箱ごと持ってきた。
「あの親父には、ずいぶん世話になってるからよお、サービスしとくぜ」
親父は愛想のいい笑いを浮かべながら2割引だ、と言って20ゴールドを受け取った。
「わあ、ありがとうございます」
「なんのなんの、このポーションさえあれば、頭がはっきりしてすばやさも上がるんだぜ。このポーションが開発されてからというもの、これなしじゃあ商売できねえよ」
機嫌がいいらしく、親父はずいぶん饒舌だ。
「へぇー。あたしみたいなどじっ子でも効果あるんですかぁ?」
「あるとも、冒険の必需品さあ。なんだったらお嬢ちゃんも試してみるかい?」
親父が無色透明の試験管を指の間で振ってみせる。
「わぁ。あたしも欲しくなっちゃった。」
「効果は8時間だ。今からなら寝るまで効果が続くぜ」
言いながら試験管のキャップを抜き、ミリアに差し出すのだった。
「え、でも、あたし今お金ないし・・・おじさんに悪いよ」
「いいってことよ。ものは試し、気に入ってもらえたらまた今度買ってもらえればってね」
「じゃあお言葉に甘えさせて頂いていいですか?」
「おう!遠慮なんかいらねえよ」
ミリアは恐る恐るポーションを飲んでみた。口に含むとかすかに甘い味がする。別に何も効果がないような感じがする。
と、そのとき、突然視界の中の薬品類やアイテム類がズームアップするように見えた。部屋の隅々までミリアのすぐそばにあるように感じられる。それどころか、通りの向こうから聞こえてくる子供の声までがすぐそばに感じられる。
「あ、あれ!?」
「どうだい?たった一口飲んだだけでもすごく神経が鋭敏になるだろう?」
親父が底意地の悪そうな笑いを浮かべながら低く囁いた。
「あ、あたし、動けな・・・」
体が動かないだけではない。口もまわらなくなっている。親父がスローモーションのように近づいてくるのが見えた。
「ほら、こっちに来て休みな」と、店の奥にミリアを引っ張っていって、ソファに投げ出すのだった。ミリアの足は乱れショーツが丸見えになってしまうのだが、まったく思うように動けない。

親父は棚から、緑色の液体が入ったビーカーを持ってくるとミリアに話しかけた。
「これはな、スライムエキスっていって、スライムの繊維分解成分を抽出したものなんだ」
親父がそう言いながらミリアの胸にエキスを降りかける。
「や・・・や・・・や・・・」
たちまち白煙をあげ服が溶けていき、ミリアの胸が天井に向けて露出する。
いやっ、こんなのいやっ、ミリアが心の中で叫ぶ。
真っ赤になっているミリアを楽しげに見下ろす親父。親父はさらにミリアの身体の前面にエキスをまぶしていく。瞬く間にミリアの形のいいおへそから下腹部までも露わになった。
だめ、もうだめ、あたし逃げられない・・・。諦観に包まれたミリアの目から涙がこぼれ落ちる。
「どうだい、薬が効いてものすごく感覚が鋭くなってるだろう?」
親父はミリアの胸をこねながら囁いてくる。意外にも親父の掌は柔らかく、ミリアは感じさせられてしまう。
「はっ、はぅん・・・」
不覚にも妙な声をあげてしまった。はしたなさに涙があふれる。
「ゆっくり時間をかけて楽しませてやるよ」
親父がミリアの脚の間を揉みながら言う。
「あっあっあっ・・・」
ミリアが切なく喘ぐ。ふと、窓の外から気配を感じた。しかし窓に視線をやってもそこには誰もいない。気配は店の表側を回り中へ入ってきた。
「ようし、よく見えるようにしてやる」
親父がミリアの両足を持ち上げVの字にしてしまう。ミリアの大事なところは日の光に照らされてあからさまになってしまった。
「ひ・・・ひ・・・ひ・・・」
悲鳴を上げたいところだが、ミリアの口からは吐息のような声しか出ない。
ギッギッとかすかに家鳴りがする。空中を魔法使い用のロッドが親父の背後にゆっくりと近づいていく。ふぁっとした香の匂いが近づいてくる。いつもルルが使っている香だ。
 
「いい眺めだぜぇ、濡れてきらきら光ってるなぁ」
ミリアの下腹部に親父が顔を寄せて、ミリアのあさましい快感を指摘する。
「ふんっふんっ。酸っぱくていい匂いさせてるぜ」
鼻を鳴らした親父の顔がニヤけて崩れる。ミリアは羞恥にもだえ死にそうだ。
と、その時ロッドが空中から振り下ろされた。
 
ごすうっ・・・
 
「がっはっ・・・!」
ロッドは見事に後頭部に命中し、たまらず親父はミリアの大事な入り口部分に顔から突っ込んでしまう。
「ミリアー、助けに来たのです」
ロッドのすぐそばからルルの声がする。しかし、ルルは見えない。姿隠しの魔法を使っているのだ。
「る・・・る・・・」
助けに来てくれたルルに言いたいことはたくさんあるのだが、やはり声にならず、ミリアは大粒の涙を流す。
「う、むぅ・・・」
親父がミリアの脚の間でうなる。
「えーい!、このっこのっ、変態めっ!」
親父の頭をロッドが何度も殴りつける。そのたびに親父の顔はミリアの大事なところを直撃する。
「あっ!・・・ふっ!・・・ふぁーん・・・!!」
刺激されたミリアがたまらず声を出す。
親父はすっかり気絶してしまったようだ。
「ふぅー」
ルルの魔法が解除され、一糸まとわぬルルの姿が浮かび上がる。
「薬を飲まされているのですか?」
ルルがミリアに尋ねる。
「あ・・・ん・・・」
一所懸命うなずいて返事をしようとするミリア。
「神よ、この者に働く毒を取り除き給え・・・」
ルルが厳かに唱えると、ミリアの身体からしびれが徐々に抜けていく。
「・・・ちょっとおー、おじさん叩くなら顔をどかせてからにしてよぉ!!」
舌がほどけたミリアが開口一番叫ぶ。
「ええーっ!助けてあげたのにミリアったらひどいのです」
親父の両足を引っ張ってミリアから離すルル。
ようやく起き上がったミリアは、親父の顔に自分の粘液がついているのを見て、顔を赤らめてしまう。恥ずかしい。仕方がないので、ボロボロになった自分の服の切れ端で親父の顔をぬぐう。
 
さあ、逃げなくてはならない。が、二人とも裸だ。
「ルル・・・、あなた、近くに服を置いてきたのよね?」
ミリアが尋ねる。姿隠しの魔法は服まで消すことはできないのだ。
「そうですわね。裏の茂みに隠してあるのです」
「貸して!」
「いやなのです」
「いいじゃない、ルルは透明になれるんだから、誰からも見られないでしょ?」
「いやなものは、いやなのです」
「ルルのけちぃ!」
ミリアは窓からカーテンを剥いで自分の身体に巻きつけた。ルルは姿隠しの呪文を唱える。
「神よ、悪しき者のまなこより、この身を守り給え」
たちどころにルルの姿が掻き消える。
「いくわよ」
ルルの声がする。
「うん・・・」
店の外に出たふたりは、ルルの服を回収し、裏通りぬけてようやく宿屋に着いた。たどり着いたときには日も暮れる時間だった。
透明のルルはともかく、ミリアの格好はあからさまに怪しい。子供たちのそばを通り抜けなければならなかったときは心臓が凍りつきそうになった。
「もうだめ・・・」
「うん・・・」
ふたりはベッドに倒れこむと、そのまま寝入ってしまうのだった。
 

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