えっちな風。 |
「これが有名なイカマナローズ橋よ」
風を受けて髪をなびかせながらルルがミリアに言う。 ここは大陸北部トポポの街。橋を渡って対岸はイカマの街だ。どんよりとした雲が垂れ込め、少し肌寒い。 「へぇー。そうなんだ・・・」 ミリアがホットドックをほおばりながら余所見をしつつ相槌をうつ。 「今見てる橋は再建された新しい橋ね。架橋当時は王国最大のつり橋だったんだけど、風の精霊の力によって、開通してから4ヶ月余りで崩落したのです。風が吹き付けることで橋の固有振動数に近い振動が起きたために崩壊したことが分かってる。共振と言って少しの力でも大きな振動を起こす現象なのです」 「ふーん。簡単に言うと、ブランコをこぎ続けると大きく揺れるようなもの?」 ミリアがルルを見つめて言う。 「そ、そうね。そんな感じ」 ルルが面食らったようにして、ミリアから視線を逸らせた。 びゅうううううう 「あれは何?」 ミリアがルルに尋ねる。 「人・・・のようですわね」 ルルが見たままを答える。 レースがふんだんに使われている白いブラウスに白いグローブ、黒いジャンパースカート、スカートの下には3段に重ねられている白いパニエ。極めつけは黒くて大きなリボンつきのヘッドドレス。黒い傘をまわしながら少女が空を飛んでくる。くるくる回りながらスカートをひらひらさせ、パニエとオーバーニーとの間に肌色の部分を見え隠れさせながら。 「へぇー、人ってあんな風にすれば飛べるんだね・・・」 あまりに非現実的な光景にミリアが見当違い感想を漏らす。 「ごきげんよう、お姉さま」 二人の目の前に着地した縦ロールの髪少女があいさつをする。 「ご、ごきげんよう・・・」 ミリアが目をぱちくりさせながら答える。最近は王都でもこの少女のようなファッションが一部で流行っているようだが、あまりにも少女趣味すぎて恥ずかしく、ミリアにはとても真似する気にはならない。ルルになら似合うかもしれない。 「お姉さま方、わたくしひとつお願いがあるんですの」 無闇にボリュームのあるスカートをくるりと翻して少女がふたりに言う。 「は、はい、なんでしょう」 ミリアが目を丸くして答える。 「お願いです。記念にお姉さまたちのパンティをわたくしにくださいませ」 「えっ、そ、そんなっ、初対面の方に差し上げることはできません・・・」 ミリアが大きな目をさらに大きくして答える。 「ミリアー、初対面じゃなくてもパンティをあげるのはおかしいよ?」 ルルが相棒の相変わらずの天然ぶりに突っ込む。 「そうですの・・・。おとなしく頂けるとは思っておりませんでしたが、仕方ないですわ・・・。風の精霊よ荒々しく吹きすさべ!!」 突然風のうねりがミリアとルルを包み込む。 「きゃあ、きゃああああああ!!」 絶叫する二人。空気の塊が服の開口部から内側にもぐりこみ、ふたりの肌の上を何匹もの小動物のように駆け巡る。外から見ると服が内側から膨らんで風船のようだ。 「ひゃっ!ひゃあああ!ちょ、ちょっと!この風、胸をもんでるぅ!!」 ブラのカップの中にも入り込んだ空気がミリアの胸を激しく波うたせているのだ。思わず両腕で胸を押さえつけてしまうミリア。ちらりと横を見ると、ルルも胸を揉まれているらしく顔を赤らめている。 「あっ、ああああん!!」 胸の先を草笛のように微細な振動で震わされた二人がたちまち声をあげる。振動はブラの留め金をも外してしまう。 「さあ、おとなしく渡さないとこうですわよ」 少女が指を鳴らすと、二人の身体は風に持ち上げられて空中を泳ぎ、まくれたスカートからショーツが丸見えになってしまう。 「いやあああ!やめてぇええ!!」 バランスを失った二人が空中をもがく。そして今度はショーツの中にまで風が入り込んでビブラートを奏でる。 「ひゃうううん!!」 身体中の敏感な部分を刺激されて、たまらず叫び声を上げる二人。さらにショーツは二人の身体から離れ、器用に足首から抜けていくと少女の手まで飛んでいった。いまやミリアとルルの大事な部分の全ては、空中ではためくスカートの中心でさらけ出されている。 「さあ、仕上げですわ。風の精霊よ!鋭き刃物となりて切り刻まん!!」 二人の服の内側の風がひときわ強く暴れ回り外側の繊維を切り裂く。同時に二人のブラまでもが少女の手まで飛んでいってしまう。 「あ、ああああああ!」 素っ裸にされてようやく二人の身体が着地する。 「確かにいただきましたわ、お姉さまたちの身体の証拠を」 尻餅をついて身体を隠すことも忘れ呆然とする二人に、少女は二人のショーツの匂いを深々と吸い込みながら声をかける。 「それではごきげんよう、お姉さま」 少女は来たときと同じように、つむじ風にパニエをたなびかせ舞い上がっていった。 |
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