えっちな風。
びゅううううう
強い風が吹きつける。
はたはたとなびくスカートの裾がめくれないように。
押さえながらいっぽいっぽ踏みしめて歩く。
一人は動きやすいミニスカート。
もう一人は白いローブにロングスカート。
びゅうううう
「わああっ」ふわりとミニのスカートがめくれてしまう。
白の地に青い水玉模様のショーツ。
「もう3度目だよぉ。嫌な風だね」
「ふふふ。ミリアは隙が大きいから」
びゅうううう
「きゃんっ」ふぁさぁとロングのスカートがめくれてしまう。
濃いピンクに白いリボンつきのショーツ。
「ルルだってぇ」
舌を出してうっかりのポーズのルル。
「次の街へ着いたらズボンに着替えたほうがいいかも。もしも誰かに見られたら大変」
二人がいるのは大陸北の地域。向かうはトポポという町。
その町に勇者について詳しい人物が住んでいるというので移動の最中である。
◇
「そういえば出るんだってね、風の強い日に」ミリアが真顔で語りはじめる。
「覚えてる? このあいだ泊まった村で聞いた話。風の強い日は…」
「ダメ。ミリア!」ルルが遮る
「風の魔女は、噂をすると現れるの」
そう、この付近一帯は風の魔女が出没する地域。
魔女の日より、神出鬼没に現れ、人々を困らせてきた。
「でも…ルル。聞いた話では信じられないよ。あんなことをするなんて」
「ミリア、北の魔女は風を伝って声を聞くといいます。
いくら変な趣味を持っていても、噂をするのは危険です」
そう、その趣味とは
「ぱんつ狩りする変態だなんて、絶対に言ってはなりません」
「言っちゃってる!」とミリアが突っ込もうとした矢先…!
びゅうううううう
突風に長いフレアのスカートをはためかせ、人が目の前に空を飛んで現れた。
二人の前に悠々と着地する。
「楽しそうに、わたくしのお噂をなさるのね」
魔女。ぎろりと睨み付ける。
「あ…あなたが北の魔女?」目を開いてまじまじと見るルルに
「かわいい…」ミリアは思ったことを口に出すタイプである。
背は小さく、衣装は白と黒だけで、ウェーブのかかった髪の毛。
「さっきから失礼ではありませんこと!わたくしはクイ。北の搭の主よ!」
びゅううう
いらいらが魔力に引火したのか周りの風が強くなる。
「やあっ」「きゃあっ」油断してめくられたスカートを慌てて押さえる二人。
「白い水玉のぱんつとピンクのリボンのぱんつは、わたくしのコレクションに加えるわ。
今のコレクションがちょうど98枚。あなたたちので100枚になるの」
手の平をスカートのほうへ向けて。
「記念だから…派手に脱がすわ、風の精霊よ荒々しく吹きすさべ」
びゅうううう
二人のスカートの下から凄まじい突風が吹いた。
「ひゃああっ」「いやあんっ」
手で裾を押さえても、全方向より風が起きるため
どうしてもパンツが外から見えてしまう。
「うん、ふたつともいいパンツだこと。メモリアルにふさわしい逸品…」
真剣なまなざしで二人のパンツをまじまじを見つめる風魔女。
「良いショーツとはね」まずはミリアの方へ近づく。魔女の周りだけ風が避けて通る。
「装着主の匂いや、装着数で変わる色。ちょうど刈り具合ですわね」パンツの正面に顔を近づけるクイ。
「やだぁ…見られると恥ずかしいよぉ」視線から逃れようと腰をくねらせるミリア。
それも許さず、鼻を近づけてすんすんと匂いをかいでいる。
「やあんっ、匂っちゃやだぁあっ」
ぞわぞわと全身に身の毛がよだつ。
「いただきますわ」両端をひっぱりショーツを引き摺り下ろす。
「んんっ」ミリアはぎゅっと目を瞑ってその仕打ち耐えようとする。
パンツ以外には興味が無いようでぱんつをひっくり返したり匂ったり品定めをしている。
「あああああ、魔女様もうやめてぇぇー、ひっくりかえさないで、匂わないでぇぇ」
ミリアの周りの風はなくなったものの、その場からすっかり動けなくなってしまう。
優雅にくるりと向きを変えルルへと近づく。
ミリアの様子を見ていたルルはあんな目に会いたくないと思うが
しかし風の渦からは逃れることができない。
「ぅぅぅ、どうか一思いに」
ミリアがやられた以上、非戦闘員のルルが足掻くのは無駄と感じた。
「ずいぶんと物分りがいいこと。遠慮なくいただくわ。」
するるる……
ルルは下着を剥がされるのを黙って目を閉じて耐える。
露出された部分に空気が触れ無性に恥ずかしい。
「記念の100枚目。」
うっとりとした顔つきになるクイ。
そしておもむろにピンクのリボンのついたショーツを頭からかぶる。
「くぅぅ…」目を疑うその光景にルルは目を背けることしかできなかった。
「二人にはもう用はありませんわ…風よ北風となりて衣服を飛ばさん!」
魔法の風が今迄で一番激しく二人を襲う。
びゅうううううう
びりびり…
「きゃああ?!」「ひやぁぁん!?」
その風に耐えられなくなった衣服のあちこちが破け始める。
びりりりりりりぃぃ
派手な音を立て破けた服は風にのり大空絵と舞う。
あとに残った二人にはもはや一糸もまとっていなかった。
「や〜ん、まってぇえ〜」
飛ばされた破れた服を全裸のまま追いかけるミリア、ルル。
服は街の方向へと飛んでいくので、これから大勢の街の住人に出会うことであろう。
がんばれミリア、負けるなルル。