勇者さまトーナメント-始動。
王様は窮地に追いやられた。

中央王国の会議場にて、
大臣たちより不満が噴出しているのだ。
王国の予算「勇者手当て」がミリアに割り振りすぎていると多くの大臣から指摘である。
顎鬚の大臣が言うには「ミリアにこだわり過ぎですぞ他の多くの勇者候補がもっと大きな貢献をしてるのに、少しも手助けしてやれておりませぬ」
国王は声を荒げて「なんと。他の勇者など。悪どいゆうしゃ詐欺で苦情がたくさん来ているではないか!」
眼鏡の大臣は反論し「そういうものも中にはおりますが、これ以上ミリア一辺倒の予算の使い方はできませんよ」
これら幾度も議論が交わされている。
ついに、一番年齢を召している大臣が声を上げた
「勇者トーナメントを開催するのじゃ!」
 
ざわざわ…
 
王様は最後まで抵抗を見せたが、最終的に勇者トーナメントの開催が決定した。
 
会議場に最後に残った王様はうめくように声を絞り出す。
「シロナ、ミリアとルルを呼んでくれ。」
 
 
○勇者トーナメント概要
・勇者を決める格闘大会
・古くから真の勇者を決めるときに行われた。
・それぞれ大臣が一人勇者を推薦できる。
・優勝したら真の勇者となり国が全面的に援助が得れる(今のミリアの状態)。
・真の勇者以外の名声を下げるための、敗者ペナルティがある。
└負けたら(降参したら)全裸、全裸にされたら負けである。
 
 
以下、推薦されたゆうしゃ達である。
 
ミリア:王様公認勇者
功績:痴漢モンスターの逮捕
 
セリナ:魔法道具使い
功績:古のダンジョン攻略
 
ミラーシュ:高レベルの土魔法使い。
功績:モンスターの巣へ飛び込み女性を救出
 
リボン:蝶仮面ヒーロー
功績:治安維持。街で出没する不良モンスターの駆逐
 
サキ:脱衣格闘
功績:水魔女軍団から街を防衛
 
キサナ:魔獣バスター
功績:六大魔獣である深紅竜と甲殻鮫を撃破
 
リーン:覚醒の村娘
功績:モンスター来襲で滅びた村で一人生き延び、それらモンスターを全滅させた。
 
  <大会当日>
 
勇者を決める戦い、勝てば正式な勇者と公認され
負ければその座を失う。
四人の悪い魔女より世界を救う勇者を見ようと、
大陸の各地から大勢の人々が闘技場に集まっている。
 
当然、勇者候補の7人もこの街へとやってきた。
こちらの人影はミリアとルル。
「ミリア、トーナメント表を貰いました」
勇者候補のミリアに、ミリアを勇者と占ったルルが紙を見せる。
 
その二人に忍び寄る影。
 
(ぱしーん!)
不意に背中を叩かれるミリア。
「はう!」驚き振り向く背後には、仁王立ちをした冒険者風の女性がいた。
「ミリアー!久しぶりー!大きくなったねー!」
街中で大声をかける。
 
「…あれ?キサナちゃん!?」意外な人物の登場に背中の痛さも忘れ、目を大きくするミリア。
キサナはミリアに顔をぬっと近づけて、
「噂はいろいろ耳にしていたんだ、ゆうしゃに選ばれてから修行や冒険してるって…」
「わわ、そうなんだ。恥ずかしいな…」いい噂は流れてないはずと頭をかくミリア。
「何年ぶりかなぁ。キサナちゃんも、村を出たの?その格好…」
「まあね。似合ってるでしょ」軽装の鎧に肘まであるレースの長手袋を、嬉しそうに見せびらかせる。
「ミリアよりずっと」と、意地悪く付け加える。
「ミリア、会ったら言おうと思ってたんだけど…世界を救うなんてこと、あんたにできるわけないじゃない」
「う…でも、それは、キサナちゃん…」ミリアは困った表情を浮かべる。
ここでルルが割り込んでくる「ミリア、どちら様ですか?」
「えっと…おとも、幼馴染のキサナちゃん」明らかに言い直した。
「はじめまして。旧友のキサナです」「占い師ルルです、ミリアと共に旅しています。お見知りおきを」
「先ほどのお言葉ですが、わたしはミリアが勇者と信じています。このトーナメントでそれを証明してみせましょう」
静かに怒りを込めた口調で物を申す。
キサナは「無理無理。ぜーったい無理。だってミリアってグズだし。すぐ泣くし。勇気ないし。どちらかと言うと勇者とは対極で−−」
何言ってうるのこの人と言わんばかりにオーバーに駄目出しをする。
ルルはわなわなと、珍しく不機嫌となり「ミリアへの暴言、聞き捨てなりません!」と。
「あーもう。ミリア、悪いことは言わないから恥ずかしい目に会う前に故郷へ帰ったらどうなの」
キサナは最後にそう言い残し、プイとその場を離れる。
 
「…なんて失礼な方なのでしょう!」
「キサナちゃんは昔からああだから」まあまあとルルをなだめるミリア。
「気にせず頑張ろ。ルル、トーナメント表見せて」
「あ…!キサナさん、トーナメント表に載っています」ルルは先ほどの紙の中からキサナの名を指差す。
「えっ、キサナちゃんが?」
 
○トーナメント表
 

ミリア───┐
リボン──┐├┐
─────├┘│
リーン──┘─├─勇者さま
サキ───┐─│
─────├┐│
キサナ──┘├┘
セリナ──┐│
─────├┘
─────┘
ミラーシュ



「ほんとう!キサナちゃんも選ばれてる!ぜんぜん会ってなかったから知らなかった…」
「あ…ミリアは1回戦不戦勝ですね。よく見ると見知ったお名前もちらほら」
「わ。ミラーシュ様も…だんだん不安になってくる…優勝どころか…」
不意に、にゅうーと背後から腕が伸びミリアの身体を抱きしめる。
「ミリアちゃん、ミラーシュがどうかした?」
「ひゃあ!、なななんでいつも急に現れるんですか!?」ミリアが抗議の声を上げる相手はミラーシュ。
「こんな風にミリアちゃんの可愛い反応が見たいからー」言って、陽気にカラカラ笑う。
「実を言うとさっきから登場のタイミングを伺っててさ、さっきのキサナって娘?生意気そうだね。
 でも。心配いらないよん。私が先に当たるからミリアちゃんは闘わない」
ミリアの際どいところを触りながら耳元で囁く。
「はうん、ミラーシュさま…手があうあう…」頬を赤く染め困るミリア。
見かねたルルが「ミラーシュ様、おいたが過ぎます」と、きっと睨む。
「冗談よ」といいつつ、ミリアから離れる。耳たぶに口付けをしてから。
「でも…、優勝するためにはミラーシュ様かキサナちゃんか、どちらかは当たりますよ?」ミリアは素朴に問う。
「そのときは、ミリアちゃん」がしっとミリアの肩を掴み、真顔で「私のために脱いで」
 
 
闘技場に入り、ミラーシュとは別れた。シロナと合流。
「ミリア様、こちらです」
彼女がミリアとルルを特別席へ案内する。
中はすでに賑わっており、数千人が観客として集まっている。
「大会のおさらいですが…」
シロナはいつも通りたんたんと説明口調で話す。
「過去幾度かの危機に表れてきた勇者、その選定に用いられてきた伝統のある格闘大会です」
「今回は、四人の魔女に対抗できる「勇者」の選定です。
 偽勇者による各地での被害の防止と、「勇者手当て」再分配のための選定です。」
「優勝者を真の勇者とし名声を上げ、逆に敗者には脱衣による辱めにより名声を下げます」
 
「こんな大勢の前で裸になるなんて…」ミリアの顔が青ざめる。
「残念ですが、伝統ですから、としか言えません。私も不快に思っているのですが…」
「このことで大金を出す納税者がいるので…」との言葉は口には出さず飲み込んだ。
いろいろ政治的な要素を含む大会なのだ。
 
ワアアと観客の声が大きくなる。
間もなく、始まる。
 
 
 
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