サキ対キサナ。
まだ先ほどの闘いの余韻が残る中、すくっと立ち上がるミリア。
視線を送るルルに「お手洗い行ってくる」と。
「すぐに次の対戦が始まるから急いで行って来てください」と急かされる。
「う、うんー」わたわた走り出す。
(急がなきゃ急がなくっちゃ…)
ドン。
慌てていたら、トイレの入り口で誰かにぶつかる。
「あぁっ、ごめんなさい。急いでて」
「いえいえ、おきにせず……って偽勇者様じゃないの!」
「え?あ!セリアさん」
「あんたなら許すものも許さないわ、あっかんべ」舌を突き出すセリナ。
セリアはミリアと同じ勇者候補であるが、実力がないのにちやほやされるミリアが大嫌いで
何かと意地悪をする。今日も、
「そうだ、ここで土下座したら許してあげる。さあ!さあ!」と食って掛かる。
「わー、ちょっとぶつかっただけでそんなぁ…」ひとしきり困るミリア。
「なに、あんたちぃっとも反省してないんじゃない?
試合で当たったら泣かすわよ?脱いだら終わりと思わないことね、大勢の前でああしてこうして…」
「あー!試合!忘れてた、急がなくちゃ。ごめんセリナさん、またお話しましょう」
まだ「あーだこうだ」喚くセリナを置いてトイレへ駆け込む。
「…限界だったんだ。漏らしたらよかったのに」そんな声が後ろから聞こえる。
(そ、そういう意味じゃないよぉ)ミリア心の声。
中央の闘技場に当の2人。
タンタンとつま先でステップを踏むと。後頭で2つに縛る髪がぴょんぴょんと跳ねる。
動きやすそうなラフな服を着ている。サキ。
軽装の鎧に肘まであるレースの長手袋。
股下数センチのミニスカート。試合前にミリアと出会ったときと同じ姿で登場している。
「この試合ですが…」観戦席でシロナが口を開く。
「サキは西の魔女コルエットと最前線で戦っています。
フィフィの騎士団が壊滅するまでは東西で双璧として、魔女の対抗として名を上げていました。
それから、不思議な格闘術を使います
一方キサナは、
モンスターの中でも最恐の六大魔獣の2匹を倒しています。
ルルからミリア様の幼馴染と聞きましたが」
「キサナちゃんはたしかに昔から運動よくできていました。
でも、モンスターを退治してることは全くしらずで…」
再び闘技場内2人。
「あなたも無手なんですか?」ストレッチをしながらサキが問う。
「いいえ、違う…武器変化」
キサナが何かつぶやくと長手袋の姿がヌルリと変化し、両手で持つ大きな剣となる。
「じゃーん!」
「なんなんですかそれー、強そう!」びびるサキ。
ここで、闘い開始を告げられる。
「いい?いきなり本気で?」びっと剣先をサキに向ける。
「あっ、すみません。ちょっと待ってもらってもいいです?ん…」
唐突に上着に手をかけ脱ぎ始める。下には薄いシャツ一枚。
唖然とするキサナと観客。
「あぅ…ぜんぜん足りないかも…」ズボンにも手をかけて。それから周りの反応に気がつく。
「あ、違うんです!そうじゃないんですよ!」顔真っ赤にして何かに対し全否定する。
「えっとですね!私、流派が脱衣格闘なんですよう…、強さの公式は、基礎対術×脱衣×恥ずかしさ…です」目の端に少し涙を溜める。
「…先に説明するとそんなとこなんです。」
「後説明になってた」ボソッと突っ込むキサナ。
「まー強くなるならどんどん脱ぎなさい。最強のきみを、うちが倒してあげるから!」と気合十分。
「いやっだ、恥ずかしいのでぽんぽん脱いでいられないですよー。でもー…今のままだとその剣は防げないので…んっ」意を決し、
するするズボンを脱ぐ。下は白いショーツ。
「行きます!」やや開き直りキサナに飛び掛る。
迎撃に繰り出したキサナの剣戟をかわし
バシッ
すぐさま強烈な蹴りが返ってくる。言葉通り吹き飛ぶキサナ。
ドシン。尻餅をつく。「きゃんっ」弾みで大きく脚が開き黒いショーツが見える。
「痛た…」お尻をさすりながら立ち上がる。
「うーん。武器変更」大きな剣をいとも簡単に手で握りつぶし、こねこねとこねる事3秒。
それは短剣2つへと変わる。両手持ち。
びゅん、びゅんと、振り回す。鋭く不規則な攻撃にサキは避けるのがやっと。
その剣に気をとられ体制が崩れる。「もらったっ!」
びしっと脚を払う。サキは地面へ倒れてしまう。その上から短剣ふたつ。振り下ろされる。
ガンッ
体を転がしなんとか避ける。
「おしい、もうちょっと。でも、まだ、少し、うちの方が上。もったいぶらずに脱いだらどう?」
「はぅ。たしかに勝てそうになさそうですよ」がば、とシャツをまくりあげる。上下とも白の下着姿。
「あーーん、恥ずかしい…!! でもっ、これで勝てます…、たぁぁ!」
ドッ
迎撃しようと繰り出したキサナの剣戟が
「うそ…素手で?!」サキの腕によって防がれる。そうサキは皮膚を切り裂けないほど防御力が上がっている。
ドンッ
続けて殴られる。「ぐぅ!」
バシッ
殴り飛ばされながらも武器をこね、短い槍に変えて横殴りにする。今度はサキが痛がる「あうっ」
バシッ、ガシッ、ドンッ
「はぁはぁ…」
どちらも方で息をしている。
キサナは、
「はぁはぁ。うちはこれが限界だけど、君はまだ強くなれるよねー。やばいなぁ」と苦笑い。
それを聞いたサキは
「そうなんですか? では奥の手…!」と
一気にブラとショーツを脱ぐ。
「ちょっと?!全裸になったら負けじゃないの?!」キサナは慌てて止めようとする。
「よく見てくださいよ、前もって絆創膏と前張りを張ってるんです。全裸ではない…です。
あ…!、やっぱりよく見ないでほしいです」自分のしたことを後悔し始める。
「うおおおお」
ここにきて観客がその裸と変わらないような姿に興奮した声を上げる。「ひぇぇ…」
大勢に注目されていることを再認識し、ぞくぞく身体に悪寒が走る。
とどめが、キサナのこの一言。
「これは…強そう。でも、恥ずかしくないの? そんな姿で戦って。」悪気なく何気に聞きくと
ついに顔から火を出す「は…は………恥ずかしいいい!!!」
ついにぺたんと座り込んでしまう。
「えーーーん、もう戦えないです。降参ですよーー」と泣く。
司会者が告げる。
『サキ、降参。』
そして、
『敗者はペナルティです、全部脱いでください。』
「わ、わかりましたよぅ…」
胸の先の絆創膏をゆっくり剥がす。「あ…」
両胸、とくに胸の先を左手で隠し、下の前張りを剥がす。ぴりり
「いたぁっ……あぅぅ」
『サキ、全裸確認』
『勝者、キサナ。』
あっけにとられ固まっていたキサナが、
「ちょ、ちょっと。納得がいかない。その姿でうちと戦うのよ!」
「や、やだやだっ。見えちゃうー。えーんっ」サキを泣かせる。
キサナは、いじめっ子。