ミリア対リボン。
控え室。
対戦まであと少し。
直前までずっとルルに聞けないことがあった。
「ねぇ、ルル…
わたしが負けるともう一緒にいられなくなる?」
「…どうして?」と返すルル。
「だって…勇者失格になっちゃうかもしれないし…
そうなったらルルは、わたしではないほかの勇者さまと冒険する…?」
泣きそうな表情で不安をルルに打ち明ける。
ルルは何も言わない代わりに、ミリアに近き
ちゅ…
口付けをする。
「勇気の出るおまじない…です」
少し、照れて。
「ミリアは余計なこと考えないで、できる限りのことをしてきてください」
「ふわ……う、うんっ。行ってきます」
しばらく固まっていたミリアも。お互い顔を赤くして。
控え室のドアを開く。
その部屋よりもっと奥、一番奥の控え室
そこには対戦を終えたミラーシュとセリナがいた。
「きゃ、なにこれ!くっつくー」
セリナは粘りつく土の中にいた。
「土魔法:とりもちトラップ、この部屋から逃げようとすると発動するようにしてたのさ」
対戦後、ミラーシュはセリナを裸の姿のまま部屋へと連れ込んでいた。
そして、隙を見て逃げ出そうとしたセリナはミラーシュの魔法で身動きがとれなくなった。
「んふー、いい格好」
ミラーシュが言うように、
セリナはお尻を突き出す格好で動けなくなっている。
「なによこんなもの…!」もがくたびにセリナのお尻や胸が動く。
一方、闘技場。
対戦相手リボンは既に来ていた。ミリアを見つけると声をかけてくる。
「あなたがミリアさんですね、お噂はかねがね聞き及んでいます
あなたの冒険の話、いつも興味深くて。剣を交えることができるのが嬉しいわ」
リボンの顔の大部分が覆われているため、表情はわかりにくいが、興奮しているもよう。
「ぁ…はじめまして。はい、ミリアです…」人見知りなりの返答のミリア。
開始の合図
「行きます!」
合図と共にリボンは攻撃を始める。
彼女は先の試合と同様に細い剣を装備している。
「んっ!」対するミリアは片手に持つ盾で攻撃を受け止めた。
大舞台に弱いミリアだが(ルルのおかげで緊張しないよ)ルルのおまじないで力が沸いている。
「たーっ」もう片方の手で持った剣で攻撃する。
そんなやり取りが何度も続き、ややこう着状態に陥る。
「驚きました、ここまで着いて来れるなんて」
余裕のリボン。ミリアは「はぁはぁ」既に肩で息をしている。
「今度は本気で!」
リボンの剣の速度が大きく上がる。
シュパッ
閃光が走り、その後ミリアの服の中から肌色がちらり。
「きゃんっ」慌ててるミリアに。
「はぁぁ」
シュパンッ
シュパンッ
シュパンッ
「…?!!」
ファサッ
大きく切り刻まれ地に落ちるミリアの服。下着が丸見えとなる。
「やあっ…でもっ…負けられない!」
リボンさらに攻撃を加える。
シュパ……カァァン!
「くっ…」
なんと、今度はリボンの剣がはじかれる。
ミリアは下着を狙われることを予測、剣筋を見切った上で
一か八か強打に出たのだった。
ミリアの予想通りにリボンはブラを狙ってきたため、リボンの剣をはじいた。
それを拾うまもなく、スッと彼女に剣を向けるミリア。
「く…負けました」
『勝者ミリア』
『敗者リボンは全裸に』
「わ、わかりましたわ…」
震える手で、しかし覚悟を決めた動きで服に手をかけ、少しずつ衣服を脱いでいく。
はらり
やがて下着姿となり、続いて下着も外していく。
するする
羞恥に震えてはいるが、肌を隠さず堂々とした振る舞い。
美しい肌が露になる。やがて裸になるも凛々しく見える。が…
『仮面があると全裸と認定しません』
「え…?」非情な言葉に固まる
「これもとれと…」たらりと頬を滴る汗。
(裸はしかたがないとしても、正体がばれるのは不味いわ)リボンは困惑する。
『脱がないなら強引に脱がせることになります』
警告を発せられる。
「わ、わかりましたわ…」
ごくり。唾を飲む。
服を脱いだときより緊張した手つきで蝶仮面に手をかけると
覚悟を決め仮面を外す。
(どよ…)
観客がその素顔を見てざわめく。
そして、正体に気がついた人々がおのおのに口にする。
「ひ、姫様…」
「姫様!」
「フロンリーフ姫!」
そう、彼女こそ中央王国のお姫様フロンリーフ、その人である。
(どよどよどよ)
「姫の…裸っ」
「うおおー」
観客の歓声が今までにない程大きくなる。
「くぅぅ…」
一人だけの秘密を、こんな形でばらすことになり後悔するフロンリーフ。
そこへ、大会の関係者と思われる男たちが駆け寄る。
現れマントをかけ、そのまま出口の方へ連れて行く。
立ち去り際、真っ赤に染めた顔が、目に涙を浮かべて、ミリアをキッと睨む。
(ドキン。)