モンスター遊園地。
「お嬢さん達、遊園地のチケットをどうぞ」
 
道を歩くミリア達に手渡された。
「モンスターランド」のチケット、新しく開園する遊園地の開催イベントで
女性100名様無料で招待と書いてある。
 
ミリアとルルは開催日当日その遊園地へと向かった。
 
魔法で動く乗り物、アトラクションがたくさんある。
「なんだか楽しそう、あたし遊園地初めて。ルルは?」
「わたしは小さい頃にあります。絶叫物が好きでした。ああいう……」
ルルが指差す乗り物は、レールの上を高速で走っているもの。
あんぐりと口を開けて、その乗り物を目で追うミリア。
「ルル、あれはやめて〜」
泣きが入ったので、ルルは「そういうと思いました」と手元のパンフレットを見る。
「まずはミラーハウスなんてどうでしょうか」
壁や天井が鏡になっているらしい、それなら怖く無いと、ミリアも同意した。
 
「わー不思議不思議、あたしたちいっぱいいるみたい」
鏡に写る自分達の姿にはしゃぐミリア。
「そうね…だからと言って床まで鏡になっているとは思いませんでした」
長いスカートを抑えて動きにくそうに歩くルル。
「ゎ、やんっ。本当……」ミリアのスカートは膝丈のため、
どうしても隠しきれ無い。床と天井が鏡張りのため、
上を見ても下を見ても、下着がエンドレスに写り込んでしまう。
「作った人、気配りがたりません…」ちょっとむっとしているルル。
「…そうアンケートに書き込まなくてはいけません」
その後は気まずい雰囲気のまま、鏡の館のゴールまで歩いた。
 
 
「次はどこに行くの?」
ミラーハウスであんな目にあったにもかかわらず
ミリアのテンションはどんどん上がっているように見えた。
「そうですね」ルルはまた案内図とにらめっこ。こういうのは大抵ルルの担当なのだ。
「メリーゴーランドなんてどう?お馬の乗り物でメルヘンチックな乗り物です」
「うんっ。それに乗りたい。今がここだから……こっちかな?」
トコトコ歩き、ルルとミリアはメリーゴーランドやってきた。
 
着ぐるみをかぶった係の人に案内され、
馬の乗り物に案内された。
「別々の馬に乗るんだ」
ミリアは、白い角の生えたの馬の前で、
係の人が跨るように言うので、スカートを気にしつつ
馬に跨る。
馬の背中に銀のポールが生えており、手はそこに掴む。
「っ、乗り心地あんまり良くないかも……」
馬の背中が盛り上がっていて股に喰い込むように出来ている。
リアルといえばリアルに作っているのだろうが。
ゆっくりと馬が動き出した。
(あれ、馬の左右に足場、これは動かない…
 離れちゃうと……支えるところ無くなっ……ちゃう?)
ミリアの考えは当たっていた。
馬が動き出すと足で踏ん張るところがなくなり、
跨っているところに体重がかかってしまう。
「んんっ!」
馬の背中が食い込んでくる。
ポールにしがみつき、体重がかからないようにするが、
馬は上下に動きだし、体重の掛かり具合が変化する。
「やぁっ…ルル、これへん……」
隣を見ると、ルルも顔を赤くして、必死にポールにしがみついている。
そのうち、馬が前や後ろに傾き、そのたびに股間がこすれてしまう。
「んはぁっ!」思わず声を出してしまう。
辺りからも、他の乗客たちの甘い声が聞こえてくる。
「もぉ…下ろして……」何故か係の人の姿がなくなっている。
馬はドンドン凶暴さを増して、暴れるように上下に動き出す。
身体が馬の上で跳ね、そのたび股間が馬の背中にぶつかる。
「んはあっっ…」
メリーゴーランドが止まったとき、息がすっかり上がってしまっていた。
ふらふらと足場を使って降りる。
『なによこの遊園地、絶対おかしい!許せないわ!抗議しましょう!スタッフはどこに行ったの?!』
そんな声が周りから聞こえる。
「大丈夫?ミリア」ルルが心配そうにミリアに声をかける。
そんなルルも悶えながら股間を押さえている。
 
 
「あ、向こうに着ぐるみの行列がー……パレードかしら?」
見ると一列縦隊でこちらに近づいてくる遊園地の着ぐるみ達。
「こうやってみるとあんまり可愛くないね」
「そうね、なんか雰囲気が今までと違うような……」
「笑い方が不気味になった……?でも着ぐるみだよね???」
ざわざわとしている。どことなく雰囲気が変わった気がする、皆そう感じた。
その勘は当たっていた。
近くまで来たそれらは、いきなり女性客に襲いかかってきた。
 
『きゃ、きゃーーー!』
いきなり襲われる女性客。
押し倒される人、服を脱がされる人、騒然となる。
そもそもモンスターの縫いぐるみと思っていたものが
本当のモンスターであったのだ。
モンスターならではの動き、舌を伸ばしたり
空を飛んだり。普通の遊園地の客が叶うわけがない。
しかし、その中で唯一普通ではない客であるミリア。
 
「きゃああ!」
彼女も、一般客と同じように狼のようなモンスターに押し倒されていた。
大きな爪で衣服を破かれ、狼の男性器で今にも突き入れられそうな体勢。
 
「いやあっ」
ルルはその隣で、蜘蛛のようなモンスターの糸に縛られ身動きがとれない状態。
こちらも、今にも蜘蛛の男性器を後ろから突き入れられてしまいそう。
 
『…も、もう入れられちゃう……!!』
二人ともがそう思ったとき。
 
…どぉぉんっ!
 
モンスターが吹き飛ぶ。
「モンスターバスター、キサナ!参上」
カッコ良いポーズでびしっと決める。両手にはお得意の大きな剣を携えて。
 
「キサナちゃん?!」
ミリアが驚きの声を上げる。
「なにしてんの、ミリア。さっさとモンスター退治するよ。置いてくよ」
「弱っちいー」とミリアに悪態つきつつも、ちゃんと起こしてあげる。
「ご、ごめんなさい。で、でもでもキサナちゃんなんでここに?」
 
 
「もちろん、モンスター退治」
 
 

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