おっぱいパレード。
春一番ぽかぽか陽気の日のある昼下がり。
 
ミリアとルルはメーアの村に来ていた。
ルルはまた公務でお出かけしたのでミリアは一人喫茶店でお茶をすすっている。
喫茶店のお姉さんが話しかけてきた。「パレード、参加するの?」って。
ミリアが何のことがわからないと返すと、
「この町のちょっと変わったパレードなんだけれど。この時期に来る旅人さんは大体それ目当てでくるのよ」
「あ、いえ。パレード参加のつもりで来たわけではないんです。お友達が……」と、会話する。
お茶が飲み終わったので会計を終えて店を出る。
 
ふらりと道を歩いてると
「パレードに参加しませんかぁ?」見ず知らずの女の子にと広告を渡そうとされる。
チラシには大きく「おっぱいパレード」と題打っている。
ミリアが目を丸くしていると、「はい」と差し出される。
貰わずに角度を変えて歩こうとしたのに「はい」と、なかば強引に手の中に押し込まれる。
「良かったらお持ちください。お友達も誘ってね」
するとまた、忙しそうにチラシを配りまわってる。
 
広告文章に目を通すと、おっぱいの大きな女性の絵と共に以下のことが書かれていた。
 
『おっぱいパレード』
 
今年もやってきましたメーアの楽しいイベント!
おっぱいを振り振り楽しい踊りを踊りませんか?
あなたの参加をお待ちしています。
 
 
「貴方も、参加するのですか?」
チラシを読んでいると、ふと声をかけられたミリア。
見ると可愛らしい少女がこちらに笑顔を見せている。
「あ、いいえ、違います」
話を聞くと、彼女はパイツナという名前で隣の町からパレードを参加するためにやって来たと言う。
「前から一度出てみたかったんです。お友達に内緒でこっそり来てしまいました」
少し照れながら心のうちを明かす。ミリアが参加しないと知って残念がる。
「もしお暇でしたら、衣装を選ぶのお付き合いしていただけませんか?」
そう頼まれると断れない性格のミリア。「うん、喜んで」と。
 
 
「パレードの衣装って……?えええ?これが衣装?」
ミリアはびっくりして飛び上がった。
それも無理もない話である。
パイツナの説明によると胸の先に付けるキャップ(ニップレスの様なもの)
下に付けるのなんて、かぱっとはめるもので、
前の大切なところ周辺とおしりの筋が隠れるだけのカバー(いわゆるシーストリング)。
パイツナさんは真剣に見入って、胸のところ(服の上からだが)にキャップをあてて
お気に入りなのを選んでいる。たまに意見を求められるミリアだが返答に困る。
パイツナさんは一人で探すようになったので、ミリアはぼーっとつっ立っていた。
「あなたはもう選び終わったの?」店員さんが尋ねる。
「わたしは付き添いだけで……」そう答えるミリアであったが、
「そうなの。退屈でしょう、試着しちゃってみない?……例えばー…」
幾つかピックアップしてミリアに選ばせる。
「この……サクランボのが可愛いです」
サクランボの模様(胸のところは赤い丸に緑の茎がぴょんと出てる)を選ぶ。
「じゃ着替えましょっか」嬉しそうに言う店員さんに、あれよあれよと試着室へ案内される。
 
こうなっては着替えないわけにも行かず一旦着替えてはみるミリアであったが、
姿見に映るあまりにも裸に近いその格好が恥ずかしく「(これで人前になんて出れないよぉ…)」と。
思ったのに、「着替え終わりましたか?開けますよ」と店員さんの声が。
「は……ぃ……着替はしましたけどもにょもにょ……」
カーテンを開けられてしまう。「きゃっ」
「あら、お似合いですよお客様」店員さんに褒められる。
「ミリアさん素敵」隣にはパイツナさんの姿が。彼女は黒い星のキャップと黒いカバーを身につけている。
彼女はもう購入も終えたそうで、この姿でパレードに出るらしい。
(バタン)
その時、店の扉が開いた。
「急げ、パレードもう始まるぞーい。広場に来てくれー」と野太い男の声が。
店内を見渡し「参加者2人追加だー、姐さんに伝えてくれーい」と外に向かって声を張り上げていた。
どうやら数に入っているらしいミリアは、
「あっ、あのっ、あの私は……」慌てて否定しようとしたのだが「急げ急げ!」聞く耳持たない様子。
もじもじしていると店員さんに「お代は帰りでいいわ」と、ぽんと背中を押されたし、
「あ、参加することにしたんですね、嬉しいです」と隣からパイツナさんは手を引いて先導する。
 
 
広場には20名程の女性が集まっており、それぞれ三点隠しているだけのほぼ裸の状態。
どの娘もおっぱい自慢したいのがわかる程立派なものであった。
ミリアも小さい方ではないのだが、ここの人たちの間では小さい方である。
説明と注意事項が伝えられる。
 
・パレードはここから大通りを1kmほど進行するとのこと。
・何があっても列を乱さないこと。
 
そして振付を一度通して教わり、いよいよ開始である。
4列縦隊となり、チャンカチャンカ♪とのしい音楽と共に一行は踊りだす。
ミリアはなるべく目立たないところ、真ん中で踊ることにした。
ただ、人と人の間は2m程空いているので全く見えないわけではない。
 
チャンカチャンカ♪
手のひらを回し2回すいっと体をねじる。 ぽよん
今度は反対側に同じ動作をする。 ぽよん
手のひらを胸の横から胸にに近づけ、2度身体を揺する ぽよんぽよん
そんなこんなで小さな丘を一つ超えると大勢の人々が道の左右に陣取っているのが見えた。
踊りながら近づいていくとすごい熱狂であることがわかった。
人々の目はぽよんぽよんと跳ねる胸に釘付けとなっている。
300Mくらい進んだところで、曲の一番が終わりにポーズを取るシーンを迎えた。
手を腰と頭の後にもって行く、よくあるセクシーポーズでの決めである。
一同が揃いそれを行うと、大歓声が。
 
「(は、は、恥ずかしい!!)」ミリア、心の声である。
他にも顔を赤らめ恥ずかしそうにしている人もいるが、それぞれ
自分で出場を決めて踊っている者たちである。満足気な表情も見て取れる。
ミリアは成行きで出場となったため、裸寸前の姿を見られることも耐えられてものではない。
なるべく目立たないように動きを合わすが、他の人よりは動きが小さく、
また、顔もうつむいていることが多い。
 
すぐさま2曲目が始まる。
2曲目は1曲目より動きが静かでその分、艶めかしい動きを要求される。
体を大きくダイナミックに動かすのだが、人々の嫌らしい視線を浴び、
ドンドンと気持ちが高ぶってくる。
ミリアが違和感に気がついたのは2番ももう終わりに近づいた時である。
胸の先からキャップが剥がれ落ちそうになっているのである。
「(なんで??! あ……試着用のだからきっと糊が弱いんだ……)」
かああぁあぁ……
ミリアは一瞬で耳まで赤くなる。
キャップが落ちないよう落ちないよう胸の先に気を配っていると。
悪いことにムズムズと胸の先が更に更に固く尖っていってしまう。
キャップがめくれていく感触を覚えた。
(やぁぁぁ……お願い、外れないでっ……)
それでもなんとか2曲目を踊りきり、3曲目が始まる前にキャップを押し戻して事なきを得た。
 
3曲目はアップテンポな曲である。
ミリアは非常に不安であった。
周りから目立たない範囲で出来る限り小さく踊りなんとかこのままの状態を維持したいミリア。
小さくはねて胸を上下に揺さぶる動きや ぷるんぷるるん。
腰をゆすり胸を左右に揺さぶる動き ぷるぷるぷる。
体全体を使い大きく胸を回す動き ぷるぅんぷるぅん。
胸を上下左右に振り回すような振り付けが組まれているため、
観客は目を皿のようにして胸に釘付けである。
少し曲が落ち着いたあとに
大きくジャンプして頭と脚を後ろにエビ反りで胸を反らす動きのとき
ついにミリアの胸のキャップが宙を舞った。
(どよどよどよ……)こんなハプニングに観客はざわめく。
「(きゃあああああああああああああああああああああああああああ!
 飛んでっちゃった、飛んでっちゃったあぁ〜〜〜〜っ!)」
ミリアはジャンプしていたため身体を隠すタイミングを完全に逃してしまう。
どうしていいのかわからず、とりあえず何もなかったことにして曲に合わせて踊り続けることに。
ぷるんぷるるん。
20人中、ひとりだけ少しも隠すことのないピンクの先。
ぷるぷるぷる。
当然のことながら、人々はそこ1点に集中する。
ぷるぅんぷるぅん。
「だ、、、だめえええ!やっぱり踊れないっ!」羞恥のあまりしゃがみ込むミリア。
隣で踊っていたパイツナさんが気が付き、ミリアに近づく。
パレードはそのまま続いたが、ミリアとパイツナはその直後をゆっくり歩く。
ミリアの胸は手で隠しながら。
 
 
こうしてパレードは終わった。
終わってから周りの人に「災難だったねー」「可哀想…」など慰められた。
パイツナさんに「宿で打ち上げするみたいですよ、ミリアさんも参加しましょう」と言われ
打ち上げの部屋に移動する。
こんこんとノックし「はい、どうぞ」
扉をあけてみると……
「わっ」びくっ…と反射的に後ろに仰け反る。
そこはダンサー総勢20名によるレズパーティの最中であった。
「…さ、パイツナさん、ミリアちゃんもおいで」怪しく手招きされる。
『……ふぁぁぁん…』『……お姉様やだ……あぁん……』などと甘い声があちこちで上がっている。
 
ミリアはお手洗いということにして部屋を出て、
そのままおうちへ帰った。
 
 
「(うぅ、くすん。恥ずかしかったよぉ……、もう少し勇気があってどこかで参加を断りきれていれば、こんな目には……。)」
ミリアが今までで一番、本当の意味で勇者様になりたいと思った日であったという。

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