楽園と女神。
目の前には
「ミリア、呼びました?」
目の前でぱちくりと目を大きくするルル。
「ふぇ……!? ル、ルル!??」
 
ルルの顔がアップで現れ耳まで真っ赤にしてしまうミリア。
「ん?」小首をかしげるルル。
 
「あの、ここ、ここは?」
慌てて話題を変えるミリア。
 
「楽園と呼ばれる場所ですよ」にこやかに笑うルル。
 
 
どうやら無事に転送されたようだ。
小さな部屋。
ミリアの足元に魔方陣。
目の前にルル。
そのルルは薄い羽衣を羽織っていた。
薄く透けてしまいそうなそんな白い生地。
パサリ……
ルルが同じ衣装をミリアに羽織らせる。
 
「これからミリアを女神皇女イナルミ様の元へ連れていきます」
 
「女神様?」ミリアはまだぼぉっとした様子である。
 
ルルに手をひかれミリアは魔方陣の部屋をでる。
 
彼女たちの目に写ったのは大浴場であった。
イナルミの宮殿へ入る前の身体を清める施設である。
 
『ようこそ、ルル様。ミリア様』
 
出迎えたのはルルやミリアと同じ羽衣をつけた10名の天女たち。
 
『失礼します』
二人はいきなり羽衣を剥ぎ取られる。
「え……ゃぁ……」
ミリアは同姓とはいえこんな人数に裸を見られ恥ずかしがる。
一方ルルは何度もここに出入りしているため堂々と澄ました顔をしている。
 
ミリア、ルルを椅子に座らせそれぞれ5名ずつで支度を始める。
お湯を洗面器で運んでくる者、タオルに石鹸をつける者。
 
「か、身体くらいひとりで洗えます……から……っ」
赤面しうろたえるミリアに
「客人にお手を煩わさせられませんわ」
「気持ちを楽に、私たちにお身体をお任せくださいませね」
天女たちはキャッ、キャッと楽しそうに声をかけながらミリアの身体を洗い始める。
「お背中お流ししますね」
ひとりの天女がミリアの背中にお湯をかける。そして手に持つタオルでゴシゴシと力を込める。
「わたくしは御身足を……」
「それではわたくしはお腕を……」
「わ……ひゃう」
身体を隠していた腕を引かれてしまう。
「恥ずかしがることはありませんよー、綺麗にするだけですから」
優しくに腕を引くと、ミリアの胸が大気に触れる。
「ぁ……ゃん……」
恥ずかしそうに顔を赤らめるミリア。
「髪を洗いますから、眼を閉じていてくださいね」
シャンプーを手につけた天女がミリアの髪を丁寧に洗い始める。
ミリアが目をつむっている間に他の天女は胸や脚などを洗い始める。
「ひゃ……くすぐったい……ひぃん……」
敏感なところや恥ずかしいところまで洗われてしまうミリア。
最後にざばーとお湯で注がれ終了した。
「では露天風呂に案内しますので、ごくつろぎください」
 
眼下には雄大な自然が広がり、遠くには山や海が見える絶景の露天風呂、貸切。
「絶景……」
呆然とするミリア。
「極楽ですね」
ルルも同意する。
二人が入浴を楽しんでいると。
ふと、女性がひとり湯船に近づいてきます。
「ルル。久しぶりね。そして貴方がルルの勇者のミリアかな」
湯煙からプロポーションの良い裸体が現れて……
「あ、あなたはイナルミ様っ」
「えええっ、女神様?」
 
そしてルルとミリアはこれまでの冒険のおはなしを報告したり、
悪魔イディラがダンジョンに潜伏していたことをイナルミに伝えた。
 
ふむふむと、真面目な顔で聞いていたイミルナであったが、
「ところで……」と話題を変えた。
「貴女達二人の関係はどこまで進んでいるの」と。
 
「え?」
「どういう質問ですかそれは?」
 
「二人はもう付き合い長いでしょう。もうキスはしているの?」
嬉しそうに尋ねるイミルナ様。
 
「そういう関係ではありません」やれやれといったルルの対応は予想していたらしく
「いつキスしたの?」
「え、えええと」顔を赤らめ慌てふためくミリアに狙いを絞っている。
ルルに助けを求める視線に応じて「イルナミ様っ」と抗議の声を上げるルルに、
「ルルは女神の前で嘘、偽りを述べたりしませんね」とにっこり笑顔で釘をさす。
「貴女も正直に答えないと……」ミリアの身体を女神らしくなく嫌らしい視線で撫で回す。
「はぅ……」その視線に危険な物を感じたミリアは、
「そ、それは……勇者様トーナメントの時に」と、正直に白状するミリア。
「……あれは勇気を与えるための魔法だったんです」ルルが付け足す。
「へえー……やっぱり」イミルナは嬉しそうに頬を押さえる。
「ほかには……もっと凄いことしちゃったりしてる?」
女神は興奮した様子でトコトン二人を問い詰める。
ミリアとルルは顔を見合わせるが「ぁ……」とミリアは小さく声を漏らし頬を染める。
「ん?なに、なに」イミルナは興味をひいて問いただす。
「い、いいえ。なんでもありませんわ。ね、ミリア」ルルも思い当たったようだが
女神に分からないよう、こっそりミリアのおしりを指でつねる。
「う、うん。なんでもないです」と。
 
「ほんとうにー……?」ずずいと身体を乗り出す女神様。ガシッとミリアの肩をつかむ
「はっ……ミリア、何も考えちゃ駄目です。イルナミ様は人の考えていることがわかるんです」
「え、そんな……、はあぅ……」
ミリアのおでこにおでこをコツンとくっつけたイルナミ。
「さあ、勇者様。ルルとどんなコトをしたのか、詳細に思い出して頂戴」
「ぁぅぁ……」考えまい考えまいとすると、逆に鮮明に思いだしてしまう不器用なミリア。
「きゃ……ッ、ルル……、ええええ……これはほんとにルル?
 すごい、悶えてて。ルルのこんな表情初めて見る……ちょっと、
 うわ……うらやま……いいえ、けしからない……!!」
そのイルナミ様の反応に対し真っ赤になるミリアとルル。
ミリアが思い出していたのは呪いのハプニングリングを解呪しているときのルルの様子であった。
ミリアの頭の中ではミリアの指がルルの中でくちゅくちゅ音を立てていて、ルルは苦しそうに息をしていた。
「そ、想像のはるか上の段階まで上がっているね……。あのルルがこんなことをするなんて」
すっかり興奮状態のイルナミ様。
「い、いい?このあと3人で反省会を行うから、寝室に来なさい」
と、悶々とお風呂を上がるイルナミ様。
 
 
そして。
待つことしばし。
 
「来ない……」
枕を抱き悶々と二人が訪れるのを待つイルナミ様。
そこに通りかかった天女さんが言うには「二人は用事が済んだから帰ったとのことです」
「……えええっ!?」
固まる女神様。
 
 
 
 
 
 
 
……
 
 
 
 
 
 
……
 
 
 
 
 
 
 
「もう貴女でいい。夜伽を命じる!」
天女さんに襲いかかるイルナミ様。
「きゃあ、イナルミ様がまたご乱心を……服を、脱がさないでくださいませっ」
「良いでわないか良いでわないかー」
「ご、御無体なぁぁぁ……あはぁ〜んっ」
そして楽園も日が暮れる。
 
 
 
 


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